限りなく透明に近い当事者研究

東京にある某国立大生の頭の整理。高校生の時から通院中。心身の健康、読書、その他勉強に関すること。

なぜかゆいところに「ステロイド」を塗るの?かゆみにステロイド剤が効く仕組み。

 私はアトピーで「ステロイド剤」(白いクリーム状の薬)をかゆみのある所に塗っています。蚊に刺された時によく使うムヒにもこの「ステロイド」という物質が入っています。

 なぜこの「ステロイド」がかゆみに効くのか気になったので調べてまとめてみました。

 

 

そもそも「ステロイド剤」とは

薬の中に含まれている「ステロイド」は、副腎皮質ホルモンの一種です。「副腎」というのは腎臓(尿を作る臓器)の上にくっついている小さな器官。副腎のうち「皮質」、すなわち表面の部分で作られる「ホルモン」(特定の臓器・組織を標的にして情報を伝える体の中の物質)なのです。

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副腎皮質で作られているホルモンのうち「糖質コルチコイド」という物質が薬に含まれています。糖質コルチコイドの働きは主に2つあります。

  • タンパク質を糖に変える
  • 組織の炎症を抑える

この働きがアトピーや虫刺されの時にステロイド剤を塗る理由と関わっています。その理由は後で詳しく解説します。

この糖質コルチコイドを人工的に合成しクリームに混ぜたのがかゆい所に塗る塗り薬となっているのです。

 

(ちなみに、ステロイド剤は炎症を抑えたい色々な場面で使われます。外用・内用・注射薬の分類は主に使われる剤型を示しています。↓

  • (外用薬=塗り薬として)アトピーなどの皮膚炎、湿疹、虫刺されなど
  • (内用薬=飲み薬として)アレルギー、喘息、膠原病、肺炎、腎臓病など
  • (注射薬として)がん、突発性難聴など

いろんな場面で使われる薬ですね!)

 

ステロイド外用薬がかゆみに効く仕組み

「かゆみ」の仕組み、かゆみと炎症の悪循環

かゆみは外から体にとって良くない刺激を受けた時、それを自分の体から出そうとする「バリア機能」として働いています。

刺激を受けとると「炎症反応」が起こります。赤くなったり熱く感じたり腫れたり…このような炎症の症状の一つが「かゆみ」です。

炎症反応においては、

「肥満細胞」という皮膚にある細胞が「ヒスタミン」という物質を出し

→かゆみを近くする知覚神経がこれを受けとり

→脳に伝わり「かゆい」と認識するのです。

「かゆい」と感じてかいてしまうと、「かく」という刺激に反応してさらに炎症が進行してさらにかゆくなってしまうのです。

ステロイド外用薬が炎症を抑える仕組み

上のような悪循環を断つのがステロイド外用薬。

  • 炎症を起こしている部分の細胞の内部に入り込み、細胞質にある受容体がステロイドをキャッチ

  • 細胞は「ヒスタミン」の産生を抑えるようになるため、かゆみが和らぐ

 

  • 同時に、炎症を引き起こすたんぱく質の産生を抑え、炎症を抑えるたんぱく質の産生を増やすことで炎症を治す

 

このような仕組みでステロイドは効果を発揮するため、かゆい時に使われるのです。

 

かゆい時は医師や薬の添付文書の指示に従ってステロイド外用薬を使ってみてくださいね。